ニホンライチョウの保護事業
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絶滅も危惧されている国の特別天然記念物の鳥「ニホンライチョウ」について、環境省によるライチョウ保護事業情報を掲載しています。
ライチョウ保護事業に関するこれまでの経緯
- 1955年(昭和30年)特別天然記念物に指定
- 1963年(昭和38年)市立大町山岳博物館でのライチョウ飼育開始
- 1993年(平成5年)種の保存法に基づく国内希少野生動植物種に
- 2004年(平成16年)ライチョウ保護事業策定委員会設置
- 2004年(平成16年)「大町山岳博物館」でのライチョウ飼育中断
- 2008年(平成20年)「上野動物園」にてライチョウに近い亜種スバールバルライチョウの人工孵化に成功、飼育開始(〜現在も飼育中)
- 2012年(平成24年)環境省第4次レッドリスト公表 ライチョウは絶滅危惧種ll類(VU)→ 近い将来に絶滅の危険性が高い 絶滅危惧種l類(IB)に変更
- 2012年(平成24年)文部科学省、農林水産省、環境省の三省合意による「ライチョウ保護増殖事業計画」策定
→ ライチョウ保護増殖事業計画(PDFファイル) - 2015年(平成27年)生息域内保全を保管する目的で生息域外保全開始 「上野動物園」「富山市ファミリーパーク」などの施設にてライチョウの飼育開始
- 2015年(平成27年) 南アルプス(北岳周辺)でのケージ保護事業開始
- 2016年(平成28年)「大町山岳博物館」でのライチョウ飼育再開
- 2019年3月(平成31年)〜 ライチョウを飼育してきた「上野動物園」「富山市ファミリーパーク」「大町山岳博物館」「いしかわ動物園」「那須どうぶつ王国」においてライチョウの一般公開開始
- 2019年5月(令和元年)中央アルプス(木曽駒ヶ岳)でライチョウ復活計画が本格化
- 2019年7月(令和元年) 南アルプスでのケージ保護事業終了
- 2020年(令和2年)中央アルプスの1羽のメスが産んで温めていた無精卵を各飼育施設で採卵された有精卵に交換 孵化を確認できたもののその後ヒナは全滅
- 2020年8月(令和2年)乗鞍岳に生息していたライチョウ親子3家族を中央アルプスへ移送 中央アルプスでのケージ保護事業開始
- 2021年4月(令和3年)〜 「茶臼山動物園」においてライチョウの一般公開開始
- 2021年(令和3年)前年、中央アルプス(木曽駒ヶ岳)に移送されたライチョウ家族について、20羽以上のヒナが誕生し、生息数約40羽と推定
- 2021年8月(令和3年)昨年に引き続き、中央アルプスにてライチョウ家族のケージ保護を行い、3家族を放鳥、2家族を「那須どうぶつ王国」「茶臼山動物園」に移送
- 2022年4月(令和4年)環境省の「ライチョウ保護増殖検討会」において、飼育しているライチョウの家族について、今年繁殖できたならば、中央アルプスへ移送することを決定
- 2022年6月(令和4年)中央アルプスのライチョウ家族のケージ保護 7家族計40羽のヒナを保護し、35羽のヒナを放鳥
- 2022年8月(令和4年) 動物園で繁殖させた家族の野生復帰を実施
「那須どうぶつ王国」「茶臼山動物園」から22羽のライチョウを中央アルプスへ移送 - 2022年10月(令和4年) 2園から野生復帰させたライチョウ22羽のうち10月末現在生存が確認できたのは10羽
そのほかのライチョウとあわせて、中央アルプスの生息数は100羽を超えると推定 - 2023年7月(令和5年) 中央アルプスのライチョウの生息数は80羽程度と見られる
生まれたヒナの生存率が非常に低かったことから、中央アルプスでも捕食者対策の拡充を行うことを決定 - 2023年9月(令和5年)「那須どうぶつ王国」「茶臼山動物園」で飼育されている中央アルプス由来の成鳥オス2羽、メス1羽を野生復帰 今期は繁殖できず
野生のライチョウを動物園等の施設に移送し繁殖 -> 改めて放鳥 という野生復帰手法の困難さが明らかになってきている - 2024年6月(令和6年)〜 「横浜市立金沢動物園」においてライチョウの一般公開開始
- 2024年7月(令和6年)中央アルプスのライチョウは120羽を超える見込み
- 2024年8月(令和6年)中央アルプスのライチョウ3家族計18羽のヒナをケージ保護 10羽のヒナを放鳥、ヒナの生存率低下の理由はケージ保護時に天候が悪かったこと
- 2024年9月(令和6年)人工育雛個体の野生復帰事業
「大町山岳博物館」「那須どうぶつ王国」で孵化したライチョウに野生型の腸内細菌叢確立とアイメリア原虫への抵抗性を獲得させ、計7羽を中央アルプスへ放鳥
上記内容は、主に 信越自然環境事務所HP より情報を収集しています。
ニホンライチョウの人工授精
2021年「上野動物園」と「よこはま動物園ズーラシア(横浜繁殖センター)」では、ニホンライチョウの保全計画に基づき人工授精が行われました。
詳細は 東京ズーネットHP へ
2024年6月(令和6年)には、「富山市ファミリーパーク」において野生ライチョウの精子を用いた人工受精による繁殖が行われました。
詳細は 富山市ファミリーパークHP へ
そのほかの研究活動について
- 2022年3月(令和4年) 中部大学の研究活動より「ライチョウの糞の精密DNA解析で採食した植物を高精度で同定」
ライチョウの生息域外保全について
生息域外保全とは、絶滅危惧種を守るために、安全な施設に生きものを保護し生育させる取り組みのこと。
現在のニホンライチョウの生息域外施設として飼育繁殖を行っているのは下記の施設となります。
- 上野動物園(東京都)
- 富山市ファミリーパーク(富山県)
- 大町山岳博物館(長野県)
- いしかわ動物園(石川県)
- 那須どうぶつ王国(栃木県)
- 横浜繁殖センター(神奈川県)
- 茶臼山動物園(長野県)
- 横浜市立金沢動物園(神奈川県)
横浜市繁殖センターは「よこはま動物園ズーラシア」の敷地内に開設された非公開の繁殖研究施設のため一般の方は入れませんが、そのほかの施設ではニホンライチョウに会うことができます。
一般公開している場所の詳細については 「らいちょう」を見ることができる動物園 ページに掲載しています。
さまざまな情報を得ていくにつれ、絶滅危惧種を守ることとは?安全な施設による生きもの保護の意義は?など考えさせられる日々です。
各施設でのライチョウの産卵や孵化については、可能なかぎり news にも掲載するようにしています。こちらもあわせてご覧ください。
2020年までの個体の成長状況については各施設における系譜一覧ページで公開していました。