幽霊をまた乗せたいと思ったタクシードライバーたち

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論文を取り上げた本を読んだ。


難しい言葉で書かれている論文は、ちょっと自分とは違う世界のものだというイメージが強かったが『すべての事物は研究されている』という最初の言葉が何だかスッと入ってきた。
誰かが疑問を持ち、研究して、その結果が論文という形になっていて、私が疑問に思うこともすべて調べ尽くされているのかも知れないと思えた。

この本は、NHKで論文を取り上げた番組「ろんぶ~ん」を本にしたもののようだ。そして司会は、田村淳さん。ロンブー、ろんぶ~ん、論文。それでいいのかNHK。

いろいろな論文が紹介されているが、最後に出てきた論文が一番印象に残った

『震災と死者』がテーマの卒論

私も、東日本大震災や、たびたび発生する自然災害をテーマに卒業制作に取り組んだので気になる内容。

東北学院大学教授の金菱清かねびしきよしさんが『震災学』を提唱しているそう。
東日本大震災後、被災者の心の動きを記録して震災をどのように乗り越えるかを研究するために、被災者の体験を聞き取る「震災の記録プロジェクト」を行っている。

さらに「震災と死者」というテーマをゼミ生に与えて生まれた論文が工藤優花くどうゆかさんの「死者たちが通う街 – タクシードライバーの幽霊現象」という週刊誌みたいなタイトルの論文。

東日本大震災の被災地では幽霊の話が多くある

論文で幽霊?とオカルトみたいな気がしてきますが、至ってまじめ。幽霊の目撃情報が多いという石巻市で、「幽霊を見たか」と聞き込み調査を行いますが、茶化しに来たようにしか見てもらえずに話してくれる人はなかなか現れません。頑張って地域で活動して交流しながら体験談を集めていくと、みんな幽霊を見たのか見なかったのか、とても曖昧な証言ばかり

しかし、タクシードライバーさんたちのエピソードが他とは違っていたそうです。

霊がお客さんとして乗ってきて、話をするのだけど途中で居なくなってしまう。
通常の幽霊体験は、見たのか見てないのか経験後にあやふやなのだけど、お客さんとして乗ってくるため空車から賃走(実車)になり、実際に走って乗せたことが証拠として残る。
また、見ただけではなく、幽霊と実際にコミュニケーションを取っているのも大きい。

なぜ霊がタクシーに乗ってくるのか

論文では、なぜタクシーに乗ってくるのかなどを考察しています。

乗ってくる幽霊はみんな年齢が低いそうで、人生に未練があるのではとか、タクシーは個室で話し掛けてくれるなど霊にとって都合が良かったのではとか、何となく納得できそうな感じでまとめられています。

私がいちばん気になったところは

幽霊が自分のタクシーに乗ってくるなんて怖い!!
もう乗せたくないとタクシードライバーをやっていたら思う気がしますが違っていました。

最初は恐怖心があったそうですが、幽霊をまた乗せたい。と思っているそうなんです。幽霊を乗せたことはよい記憶として残っているとのこと。乗せたことを誰かに話して否定されたら幽霊も可愛そうだから、賃走として走ったメーターも自腹で払って、そっと自分の胸にしまっているなんて何だかグッときます。

津波で亡くなった人たちを想い続け、亡くなった人を敬い受け入れて生きている人たちの気持ちに触れるような論文もあるのだなぁと思いました。

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